令和7年春
3月彼岸過ぎに夏日になって半袖姿かと思えば、翌週には冬日となって震え上がる。三寒四温ならぬ三冬四夏の中で、桜は満開を迎えてはいるが、寒々しい春の風景に心が折れそうになり、入学式や入社式のニュースも心なしか歓び満開とはいかぬ日々を過ごしている。そんな中で都内のある日本語学校も新入生を迎えているが、そのオーナーが学生時代に琴古流尺八サークルでわが宗家の手ほどきを受けており(つまり私の先輩)、先日縁あって実に半世紀ぶりに稽古ぶりを見て頂いた。その後の居酒屋談議で、同校では日本語だけでなく日本文化の紹介も行っているという事が分かり、新入生を琴古流協会の演奏会に招待する運びとなった。1,000名以上の留学生が在籍しているということで、尺八に興味を示してくれる学生が現れるかどうか、尺八愛好者漸減の中で春を迎える楽しみが一つ増えた。稲輔