虚無僧来る
IT委員だより 石川優輔
旧盆に信州飯田の家に帰っていました。
8月15日は朝から晴天で日差しが強かった。午前10時頃何処からともなく尺八の音が聞こえてきました。もしかして自分の尺八がテレコから鳴っているのかと思い確認しましたが、勿論テレコが自動で動くわけはなく、ふとガラス戸越しに玄関の方を見ると、何と純白の衣装に身を固めた虚無僧が我が家に門付けに来ていました。数十年前にはそういう事もありましたが、最近は虚無僧の姿もめっきり見なくなっておりましたので、早速お布施を用意して玄関に出て喜捨し虚無僧に問いかけました。
「どちらからいらっしゃいました?」
虚無僧曰く「名古屋からです」。
更に聞く「お名前は?」
「牧原です」。
「やはりそうでしたか、お名前は存じています。私も少々尺八を吹きますので。」
「お恥ずかしゅう御座います。」
そんなやり取りをした後
「お茶でも一杯如何ですか」と声を掛けると、「連れがいますがいいでしょうか」
「どうぞどうぞ」
ということで庭から虚無僧2人を招じ入れ縁側でお茶を振る舞いながら話をしました。
言うまでもなく牧原さんは名古屋で虚無僧行脚をして、その行状記をホームページに掲載しており、その道では知られた牧原一路師で、もう一方は虚無僧にあこがれて牧原師に師事している豊橋市の森田泰正氏でした。そういう方がまさか我が家に門付けに来るとは思ってもいなかったので、将に奇遇というべきでしょうか。
森田氏曰く「虚無僧は三日やったらやめられなくなるので、二日半で打ち切ろうと思っています。普段はサラリーマンをしており、出立の日は近隣の人たちが大勢集まり壮行してくれました。」「門付けをしているといろんな事があります虚無僧が来たと言って孫子に布施を出させる家や、逆に追い払われる家など様々な経験をしました。」
牧原師曰く「虚無僧にとっては飯田はいいですね。今回は豊橋から飯田線で水窪、佐久などの町に立寄りながら飯田へ来ました。今日は商店街が殆ど締っていましたので住宅街の方へ来ましたが、尺八の方と遭遇するのは稀です。」
かれこれ20分ほど虚無僧談義をして、お二人はまた炎天下の町へと行脚に出て行かれました。
思わぬ虚無僧の来訪で尺八談義ができた旧盆の一時でした。
牧原一路師のホームページ紹介
![]() |
||